「葉とらずりんご」って?

  北国の爽やかな青空が広がる5月。岩木山麓一帯に広がるゴールド農園のりんご園では、淡雪のように繊細なりんごの花が咲き誇り、受粉を手伝う蜂たちも大忙しです。

 空に向かって伸びる枝々に実が結ばれるのは花の季節が終わり、しばらくたってからです。梅雨を迎える頃には枝の一本一本に無数の実が結ばれます。花びらが散ったときには何もなかったはずの枝にいつしか結ばれたりんごの小さな実は、りんごを何十年も育ててきて数え切れないぐらい見ていた光景ですが、何度見ても感動を覚えます。自然の不思議さ、奥深さを感じずにはいられません。

 果実が実ると次に行うのが「摘果」と呼ばれる作業です。これは、たくさんなり過ぎた果実を選別して数を減らし、果実のひとつひとつに十分な栄養が行き届くようにする作業です。簡単に言えば少数精鋭でりんごを育てるわけです。

 摘果によって餞別され、枝に残された実は夏の陽射しを受け、秋の収穫に向けてどんどん大きく育っていきます。そして、秋を迎え、実が赤くなる頃に行われるのが「葉摘み」と呼ばれる作業です。果実の周囲に繁る葉を摘むことで、果実全体に日光が当たるようになり、果実の表面がむらなく赤く色付くのです。
 「葉とらず」の名前でわかるように、この葉摘みを行わずに、いわば自然の状態で果実を熟させるのが、ゴールド農園の「葉とらずりんご」なのです。なぜ、私たちが葉を摘まずにりんごを育てるのか? それには深い理由があります。


「葉とらずりんご」の誕生秘話

  もし皆様の目の前に、たくさんのりんごが並べられ、そこから気に入った一個を選ぶとすれば、何を基準に選ぶでしょうか?

 手触り、重さ、形、香りなど選択の基準は人によって様々でしょう。しかし、たいていの場合、消費者の皆様が一番気にする部分はりんごの色ではないでしょうか。ムラなく真っ赤に染まり、ツヤツヤに輝くりんごは一見すれば本当に美味しそうです。りんごを生産する私たちから見ても、磨き上げたように赤く染まったりんごは美味しそうに見えます。だからこそ、りんご農家は様々な工夫を重ねながら“きれいなりんご”作りに努めてきました。

 ゴールド農園ではこれまで、より甘く美味しくなるという理由からりんご栽培の常識だった袋かけ作業をやめ、無袋栽培に挑戦するなど、常にりんご本来の美味しさを追求してきました。しかし、だからと言って葉摘みをやめようとは思いませんでした。それはやはり、見た目から来るりんごの美味しさを大切にしたかったからです。
 ところが、平成3年の秋、ちょうど葉摘みの作業行っていた時期のことです。ゴールド農園のりんご園を見学するために弘前までいらっしゃった首都圏のある消費者の皆様の口からこんな質問が出たのです。
「葉を摘むことでりんごが美味しくなるのですか?」
私たちは答えに困りました。なぜなら葉摘みという作業は、あくまで外見をよくするために行う作業だったからです。

そこで私たちはこう答えました。
「美味しくなるというわけではありません」私たちは正直に説明しました。「むしろ、その逆なのです。りんごの果実に養分を送ってくれる葉を摘むわけですから…」
 岩木山麓の原野を開拓し、りんごを育て続けてきた私たちは骨の随からりんご農家です。りんごのことだけは誰にも負けないという自信があります。もちろん、葉を摘まないことでりんごがより甘くなることにも気が付いていました。

 りんごの甘さは葉で作られたでんぷんがソルビトールという糖の一種に変わり、果実に運ばれ蓄積されて甘くなります。つまり甘味製造工場の役目を果たしている葉を摘むという行為はりんごの味をわざと落とすことつながるのです。
 消費者の皆さんはこの事実に驚き、「葉摘みを行っていないりんごをぜひ一度食べてみたい。少々見た目が悪くなってもかまわない」とおっしゃられました。
「葉とらずりんご」の誕生はこの一言がきっかけとなりました。

「葉とらずりんご」の収穫の年

  葉摘みを行わずにりんごを育てる。これは大きな挑戦でした。いくら味が良くても葉の影が残り、色にムラがあるりんごが消費者の皆様に快く迎えられるだろうか? 不安は募りましたが、原野を開拓して築いたゴールド農園ならではのフロンティア・スピリットが新たなチャレンジを勇気付けてくれました。

 平成4年の秋、遂にゴールド農園初の「葉とらずりんご」収穫の日を迎えることになりました。予想通り、りんごの表面には葉の影や色のムラが残り、葉摘みしたりんごと比べると確かに見劣りするものでした。初めからわかっていたことでしたが、再び不安を感じずにはいられませんでした。しかし、一口試食をしてみて、葉摘みを行わなかったことが間違いではなかったと確信しました。太陽のたっぷり浴びた葉が作りだす養分を十分に蓄えた葉とらずりんごは、それはもうびっくりするほどの美味しさだったからです。

 私たちはそのとき改めてりんごの美味しさ、素晴らしさを発見したのです。りんごの表面に残る葉の影こそ、りんご本来が持つ美味しさのシンボルであることを、どこまでも豊かなで芳醇な甘さの中に見い出したのでした。


       
葉摘み、袋掛けを行わないことで、労働力の軽減にもつながります。 健康な葉っぱ作りが葉とらずりんご栽培の生命線。収穫の瞬間まで、葉っぱを大切に育てます。
葉摘みをしたりんごの木。陽当たりが良くなるため、きれいに着色しますが、糖度が低くなってしまいます。 葉とらずの状態で栽培されるりんごの木。これが自然本来のりんごの木の姿です。
葉っぱは養分を実に送るだけではなく、霜や暑さから実を守る役目も果たします。このりんごは葉摘みされたことで直射日光を浴びすぎ、やけどをおこしてしまいました。 りんごの実には、しっかりと葉っぱの陰が残っています。これが「葉とらずりんご」の目印です。
 
一度食べてみればわかる「葉とらずりんご」の美味しさ
 ゴールド農園が生み出した「葉とらずりんご」の美味しさは市場でも大きな反響を呼びました。その理由は、「葉摘み」と「葉とらず」の味の差が明確だったからです。「有袋」と「無袋」のりんごを比べると、無袋のりんごの方が約1度、糖度が増します。「葉とらずりんご」はもちろん無袋栽培ですが、その無袋りんごよりもさらに0.5度糖度が増すのです。つまり、有袋りんごと比べると「葉とらずりんご」が合計1.5度も糖度が高くなるわけです。

 皆様とって糖度1.5度の差を感覚的につかむことは難しいかもしれませんが、食べ比べてみると一目(口?)瞭然です。「同じりんごでもこんなに味が違うの!!」と葉とらずりんごの美味しさを驚かれることは間違いありません。

 また、葉を摘まないことでりんごの美味しさの象徴である蜜(みつ)が入りやすいことも青森県りんご試験場の研究で実証されています。
 さらに、美味しいだけが「葉とらずりんご」の特徴ではありません。りんご栽培全体の労働を考えたとき、「葉摘み」という作業が占める割合は約20%にもなります。そのため「葉摘み」作業を無くすことは、労力軽減を目指す農家にとって大きなメリットとなり、りんごの値段が下がることにもつながります。


 自然本来の姿を取り戻させることによって誕生した「葉とらずりんご」。その美味しさをぜひ一度皆様ご自身で味わっていただけることを願っています。
 美味しさの目印はりんごの表面に彩られた葉っぱの陰です。

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