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もし皆様の目の前に、たくさんのりんごが並べられ、そこから気に入った一個を選ぶとすれば、何を基準に選ぶでしょうか?
手触り、重さ、形、香りなど選択の基準は人によって様々でしょう。しかし、たいていの場合、消費者の皆様が一番気にする部分はりんごの色ではないでしょうか。ムラなく真っ赤に染まり、ツヤツヤに輝くりんごは一見すれば本当に美味しそうです。りんごを生産する私たちから見ても、磨き上げたように赤く染まったりんごは美味しそうに見えます。だからこそ、りんご農家は様々な工夫を重ねながら“きれいなりんご”作りに努めてきました。
ゴールド農園ではこれまで、より甘く美味しくなるという理由からりんご栽培の常識だった袋かけ作業をやめ、無袋栽培に挑戦するなど、常にりんご本来の美味しさを追求してきました。しかし、だからと言って葉摘みをやめようとは思いませんでした。それはやはり、見た目から来るりんごの美味しさを大切にしたかったからです。
ところが、平成3年の秋、ちょうど葉摘みの作業行っていた時期のことです。ゴールド農園のりんご園を見学するために弘前までいらっしゃった首都圏のある消費者の皆様の口からこんな質問が出たのです。
「葉を摘むことでりんごが美味しくなるのですか?」
私たちは答えに困りました。なぜなら葉摘みという作業は、あくまで外見をよくするために行う作業だったからです。
そこで私たちはこう答えました。
「美味しくなるというわけではありません」私たちは正直に説明しました。「むしろ、その逆なのです。りんごの果実に養分を送ってくれる葉を摘むわけですから…」
岩木山麓の原野を開拓し、りんごを育て続けてきた私たちは骨の随からりんご農家です。りんごのことだけは誰にも負けないという自信があります。もちろん、葉を摘まないことでりんごがより甘くなることにも気が付いていました。
りんごの甘さは葉で作られたでんぷんがソルビトールという糖の一種に変わり、果実に運ばれ蓄積されて甘くなります。つまり甘味製造工場の役目を果たしている葉を摘むという行為はりんごの味をわざと落とすことつながるのです。
消費者の皆さんはこの事実に驚き、「葉摘みを行っていないりんごをぜひ一度食べてみたい。少々見た目が悪くなってもかまわない」とおっしゃられました。
「葉とらずりんご」の誕生はこの一言がきっかけとなりました。
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葉摘みを行わずにりんごを育てる。これは大きな挑戦でした。いくら味が良くても葉の影が残り、色にムラがあるりんごが消費者の皆様に快く迎えられるだろうか? 不安は募りましたが、原野を開拓して築いたゴールド農園ならではのフロンティア・スピリットが新たなチャレンジを勇気付けてくれました。
平成4年の秋、遂にゴールド農園初の「葉とらずりんご」収穫の日を迎えることになりました。予想通り、りんごの表面には葉の影や色のムラが残り、葉摘みしたりんごと比べると確かに見劣りするものでした。初めからわかっていたことでしたが、再び不安を感じずにはいられませんでした。しかし、一口試食をしてみて、葉摘みを行わなかったことが間違いではなかったと確信しました。太陽のたっぷり浴びた葉が作りだす養分を十分に蓄えた葉とらずりんごは、それはもうびっくりするほどの美味しさだったからです。
私たちはそのとき改めてりんごの美味しさ、素晴らしさを発見したのです。りんごの表面に残る葉の影こそ、りんご本来が持つ美味しさのシンボルであることを、どこまでも豊かなで芳醇な甘さの中に見い出したのでした。
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| 葉摘み、袋掛けを行わないことで、労働力の軽減にもつながります。 |

| 健康な葉っぱ作りが葉とらずりんご栽培の生命線。収穫の瞬間まで、葉っぱを大切に育てます。 |

| 葉摘みをしたりんごの木。陽当たりが良くなるため、きれいに着色しますが、糖度が低くなってしまいます。 |

| 葉とらずの状態で栽培されるりんごの木。これが自然本来のりんごの木の姿です。 |

| 葉っぱは養分を実に送るだけではなく、霜や暑さから実を守る役目も果たします。このりんごは葉摘みされたことで直射日光を浴びすぎ、やけどをおこしてしまいました。 |

| りんごの実には、しっかりと葉っぱの陰が残っています。これが「葉とらずりんご」の目印です。 |
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