梅雨明けを間近に迎える7月の空の下、ゴールド農園のりんごの木々たちは、元気な葉をいっぱいに広げています。
そしてよく見れば無数に繁った葉の陰には、小さなりんごの実が枝のあちこちに見られます。
ほんの数週間前までは、梅の実を大きくした程度のサイズだったりんごの実も今では見違えるほどに大きくふくらんできました。
品種によっては赤みを増しているものあり、秋の収穫を楽しみにさせてくれる光景がすでに広がっています。

 今の時期、りんご園で行われる主な作業のひとつが草刈りです。
この作業は春から秋にかけて5回ほど行われますが、単に地面が雑草で覆われたから草を狩るわけではありません。
この草刈りは、美味しいりんごを育てるためにはとても重要な意味を持っています。

 農作物が育つためには地面からたくさんの栄養を吸収する必要があります。
もちろん、土中に張り巡らされた根がこの働きをするわけですが、このときに吸い上げる養分は農作物の種類によって偏りがみられます。
そのため、同じ場所に同じ農作物を植え続けると、ある特定の養分だけが大幅に減ってしまいます。
すると、土壌に暮らしていた微生物のバランスも崩れ、結果的には不健康な土になってしまいます。
不健康な土で農作物を育てるとどうなるでしょう?

成育は不安定になり、病害虫が次々に発生してしまう「連作障害」を引き起こすことになるのです。

 そこでその対策として行われているのが「草生栽培」です。
りんご園の地面に様々な雑草を生えさせ、ときどき刈り取るというこの方法には、連作障害を防ぐための2つの大きな効果があります。

まず第一に、何種類もの雑草が生え、それぞれに必要な養分を土壌から得ることで、土壌の栄養バランスが偏ることを防ぎます。
また、刈った草をそのまま地面に放置することで、草はすぐに腐り、土に還ります。つまり、植物が成長するためには欠かせない有機養分が土壌へと加えられるのです。

 また、りんごの木の健康を保つために不可欠なのが、根から取り込まれる酸素です。
光合成をして酸素を作り出し葉っぱとは反対に、根は土中から酸素を吸い取っています。
この働きをスムーズに行うためには、ふかふかで柔らかく隙間が多い“通気性の良い土”がベストです。
雑草たちはこのような土づくりにも一役買っています。
土の中に張り巡らされた雑草の根のおかげで土中に無数のすき間ができ、また草刈りによって継ぎ足される豊富な有機質のおかげで微生物も活発に働き、滋養豊かな土が生まれるのです。

その点、無機質からなる化学肥料では、りんごの成育に必要な養分を足すことはできても、柔らかで滋養豊富な土を作ることはできないのです。

 さて、梅雨空の下に広がるゴールド農園では今日も草刈りが行われています。
雑草が一面に生い茂っていたりんご園ですが、草刈り機械が通りすぎた後は実にさっぱりとした光景が広がりました。

 雑草で隠れてしまっていた幹の根元も風通しがよくなり、りんごの木も気持ち良さそう。
伸び放題になった頭をさっぱりとカットしてもらったという気分でしょうか? 

 「草生栽培」とは、美味しいりんごを育てるために必要な常に新鮮で健康な土を作り出す知恵なのです。









日本一美味しいりんごを作ろう

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